2020年5月20日水曜日

NO91 「ありがとうの意味」

「ありがとう」には二つの意味があると思います。まずは日々の潤滑油の意味です。ありがとうと伝え会うことで、お互いに気持ちよく生活することができます。身近な人には、つい感謝の言葉を忘れてしまうものです。けれども、身近な人たちのおかげで、自分があります。
人は口にしなければ、なかなか思いが伝わりません。どうか感謝や温かい言葉をかけることから始めてください。「ありがとう」を伝えることで身近な関係や環境が変わることは、終末期の現場だけではありません。とても重要なことです。
そして、もう一つの意味、それは「さようなら」と同義のありがとうです。私は私も祖父を見送る時に「ありがとう」と伝えることが、「さようなら」と同じ意味を持つことを改めて発見しました。 逝く人が最後に伝えるその言葉は、自らの人生を振り返って感謝し、それに別れを告げ、また人生を支えてくれた存在への感謝であり、そして、自分が死んだあとも生きていく人たちへのエール。
送る側の人が最後に伝えるありがとうは、大切な人へのこれまでの感謝と、逝く人の思いを胸にしっかりと生きていくという気持ちの表現。
「ありがとう」の言葉で思いは継承され、バトンは次代に渡されるのです。
私たちは20世紀初頭あまりにも医学的敗北や不幸、断絶、目を背けたものにしていないでしょうか。
本当は、死は自らの人生を振り返り、感謝をし、次の世代に、あるいは大切な人たちへ、自らの思いをつないでいく場であり、不幸なことではないのです。
感謝の言葉は、日々の潤滑油、そして最後のバトンです

~以下は緩和医療に携わった先生の講話です ~

所長視点)
死 を正しくとらえることで 生 が輝くのです。

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