2020年5月30日土曜日

NO237 「情報化の逆説」

プロ野球、ヤクルトの監督時代に「データ重視の野球」を掲げてペナントを制し、西武とのシリーズで日本一に輝いた野村克也氏が、後日テレビの番組に出演して語った言葉が印象に残っています。

『監督、ヤクルト優勝の勝因は、やはり「データ重視の野球」ですね』

このインタビュアーの質問に対して、野村監督は、憮然とした表情で、こう答えました。

『「データ重視の野球」ということならば、いまどきどこのチームも多くのスコアラーを派遣し、大量のデータを入手して徹底的に分析していますよ。
肝心なことは、その膨大なデータ分析結果の中から、次の試合に勝つためのポイントを、いくつかに絞って掴み出すことです。そして、そのポイントをそれぞれの選手の個性に合わせて、これとこれといって分かりやすく伝えてやることですよ。

この野村監督の言葉は、「情報化」についての一つの逆説に気がつかせてくれます。「情報化」によって我々の「思考」は、決して楽にはならない。それは、我々にますます深い「智恵」を求めるからです。

~ 田坂広志氏より ~


所長視点)
スマホに普及により、江戸時代の人の1年分の情報を、現代人は1日で吸収しているそうです。まさしく情報過多です。情報が多いがゆえに迷い、判断ができなくなり、自分が薄れていきます。情報の海で溺れてしまっている状況で、あえて情報をデトックスして自分の感情に向き合い、耳を傾けてる時間をもつ。その中で情報を主管する「叡智」が与えられるところに幸せがあるのかもしれません

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