中国の地方のある村で干ばつのため雨が降らず、村人が困っていました。そこで、村人は「雨降らし男」を呼んできて、雨を降らしてくれるように頼みました。すると、その男が、小屋をつくって篭ったところ、三日目に雨が降り始めました。その雨に村中が大喜びし、お礼を言うと、その男は答えました。
あの雨は、私が降らしたのではない。この村では、天の秩序に従って村人が生きていなかった。そのため、雨が降らなかったのだ。
そして、その影響を受け、この村にやってきたとき、私も天の秩序に反する状態になった。そこで私は三日間篭って、私自身が秩序の状態になるのを待った。すると自然に雨が降ってきたのだ。
この話は、東洋的な神秘の物語にも読めますが、実は、我々が、職場などにおいて、しばしば経験していることではないでしょうか。
職場において、メンバーの心の和が乱れているとき、すべてがうまく動かなくなるときがあります。しかし、そのとき、何にも働きかけず、ただ、その中心にいるリーダーが、心の静寂を取り戻すだけで、その職場に心の和が回復し、物事がうまく動き出すことがあります。マネジメントとは、そうした深みを持った世界でもあるのです。
~田坂広志氏より~
所長視点)
社会は私の家庭、私の心の縮図です。政治家は良くも悪くも私達の代表です。そう捉えると世が乱れたとき、まず何をすべきかが見えてきます。倒産しそうな会社で、5S(「整理」「整頓」「清掃」「清潔」「しつけ」)を徹底したところ業績が回復した、という話はよく聞く話です。心が乱れるとき、環境のせい、人のせい、自分のせいにせず、すべてを受け入れ、自分の心を整えてみてはどうでしょうか?
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