2020年12月25日金曜日

NO432 「捨て石」

トヨタには「診断士ではなく治療士なれ」という言葉があります。生産現場を診断して問題を指摘しても、問題を改善しなければ意味がないという意味です。物事は、批評するとか理想を語るだけではダメで、それを成し遂げて、初めて世の中に貢献したと言えるのです。明治初めの頃は、官職に比べて商工業を一段下に見る傾向が強くあっただけに、理想を語る人はいても、「やってみよう」という人はとても少ないものでした。そういう中で将来を嘱望される官職についていた渋沢栄一は職をやめる決意をします
「学問があるとか、気力があるとか、知恵があるとか、そのほか一芸一能ある者は、みな官職に就くという傾向になって、民間に人物が少しもいない。だから、上下のつり合いがとれず、国家の実力を発展させることができない。このため自分は明日、辞表を提出する決心である」
常識的には考えられないことでしたが、渋沢にはみんながやらないなら、自分がやってみせるという強い決意がありました。大切なのは、理想を上手に語ることではなく、現実にやってみせることです。実行こそが世の中を動かし、変えていくのです

~ 経済ジャーナリスト 桑原晃弥さんより ~

所長視点)
理想を語るが自分ではやってみようとはしない・・・そんな評論家、政治家、ジャーナリストなどが多くなってきたイメージがあります。自らの手を汚し、人から評価されなくても捨て石になって動く人がかっこいいですね。そんな渋沢さんは1万円札になるようです

0 件のコメント:

コメントを投稿