2020年11月26日木曜日

NO407 「寿司職人」

 一人前の寿司職人になるためには下積み修行を10年ほど経験する必要があるという。ホリエモンは、センスと経営能力さえあれば1年もしないうちにプロの寿司職人を養成できる批判する。経済学者からすると、ホリエモンの説に分があるように思えた。パリで寿司職人をしている友人に、どちらが正しいと思うか質問をしてみた。「確かに、条件さえそろえば、技術的には可能」しかし、技術以外の2つの要素が重要だと言う。第1に、うまい寿司を作るには良いネタを仕入れる必要がある。良いネタを見分け、なるべく安く仕入れることが必要だし、業者は良いネタを隠し持っていて、昔からの取引がある名店にしか売らないそうだ。要するに人間関係がモノを言うわけである。
第2に、寿司職人にはコミュニケーション能力や話芸が求められる。貫禄のある寿司好き紳士が、世間話や寿司のあれこれをネタにして話しかけてくるという。客がどのような人物なのかを観察しつつ、相手を楽しませ愉快にさせる受けこたえをする。
寿司という名の芸術品を作る。そして愉快な会話も手品のように提供し、客を納得させる。これらすべてを身につけているのが「一人前の寿司職人」なのだ。寿司職人は寿司を作る芸術家であると同時に、経験に裏打ちされた「人情」のエキスパートなのだ。友人の結論は「センスが良くても、10年近くかかるだろう」

~ 西南学院大学教授 山村英司さんより ~

所長視点)
一流になるには、技術的な面とともに、心の世界を磨く必要があります。人生においても生き方も重要だし、どのような心で生きるのかも重要。今の時代、ますます重要になってくるように思います

0 件のコメント:

コメントを投稿