2020年9月6日日曜日

NO330 「雑草魂」

雑草は困り者である。やっかいな存在である。それなのに、不思議なことに日本語には、「雑草魂」「雑草軍団」という言葉がある。スポーツの世界では、エリートではない無名の努力家たちは「雑草軍団」と称されるのだ。雑草とは、悪者の存在であるはずなのに、世界で日本人だけが「雑草」という言葉を良い意味にも使ってしまうのである。雑草は、「逆境」と「変化」をプラスに転じて、強さに変えていく。
日本は不安定さに価値を見出す国である。島国で、国境を変えるような大きな戦乱もないし、革命もないが、日本の自然は不安定である。常に変化していく自然。繰り返さる「天災」そんな自然を見たときに、人々は刹那(せつな)を感じずにはいられない。「今」の大切さを感じずにはいられない。日本人は安定ではなく、変化する不安定さの中に価値を見出してきたのである。
大きな変化が起きたとき、日本人は強さを発揮する。助け合い、支え合い天災を乗り越えたのだ。そして、変化を乗り越えるたびに日本は強くなっていく。逆境を力に変える。変化を力に変える。それこそが、この国の「強さ」なのである。日本こそ、雑草に戦略を学ぶことのできる国である。そして、「雑」の哲学を持つ国なのである。

~ 農学博士 稲垣栄洋さんより ~

所長視点)
「雑草は踏まれても立ち上がる」というのは誤りで、雑草にとって大切なことは種子を作ることなので、「雑草は踏まれたら立ち上がらず、いかにして種子を残すかに全力を尽くす」。これが本当の雑草魂とのことです。不安定さに価値を見出す国が日本。何だかんだ言って生命力が強いのかもしれません

0 件のコメント:

コメントを投稿