赤ん坊は生まれてしばらくのあいだ、お腹がすいたり、眠かったり、どこか気持ちが悪いというようなことを泣いて伝えます。
まるで泣くことが唯一のコミュニケーションの方法であるかのようです。
その後、成長するにしたがってことばを覚え、カタコトでも自分の気持ちを表現できるようになり、どんどんことばの数がふえていきます。
つまり、次第にことばを覚えるにつれて人間らしくなっていくわけで、ことばを知らなければ知識を得ることも、知識を伝えることもできません。
そして、たいへん重要になるのが、子供のときに覚えることばです。
いつも聞くことばが乱暴であれば、乱暴なことばを話すようになりますし、いつもまわりからかけられることばがやさしかったり、よいことばであれば、そのような話し方ができるようになります。
また、どんなに感性が豊かでも、その感性をのばすには、ことばも豊かでなくてはなりません。
しかも、よいことばをたくわえていくことによって、よい性格と品格がそなわっていきますから、ことばをたいせつにする教育がきわめて重要になるのです。
人は誰でも見聞きしたり、読んだことをことばとして覚えていきます。
つまり、ことばイコール知恵であり、ことばこそが人を成長させ、その人の性格や考え方を形成し、「心によい習慣」をつける大もとになるといっても過言ではないのです。
ことばといえば、思い起こされるのがヘレン・ケラーです。
55年前の映画『奇跡の人』を覚えていらっしゃる方も多いと思いますが、生まれつき視聴覚がないという重い障害を負いながら、世界各地を回って身障者の教育・福祉につくしたアメリカの教育家・福祉事業家です。
彼女は献身的な家庭教師アニー・サリバンから指文字ことばの教育を受け、ついには絶望視されていた「話すこと」をマスターし、歴史に名をどどめた偉人として知られています。
そうした彼女が残した次のことばが印象的です。
「ことばというものがあるのを、はじめて悟った日の晩、ベッドのなかで私はうれしくて、このときはじめて『早く明日になればいい』と思いました」
まさに、ヘレン・ケラーは「ことばが人を成長させる」ということを体現し、それを証明した人だったと思います。
《豊かな感性を育むことばを身につける/どんなに感性が豊かでも、その感性を伸ばすには、ことばも豊かでなくてはならない。》
『死ぬまで穏やかに過ごすこころの習慣』フォレスト出版天台宗ハワイ開教総長・大僧正、荒了寛氏の心に響く言葉より…
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