2021年1月17日日曜日

NO454 「伝染」

私たちの感情というものは、自分がしている表情によって影響を受けます。
楽しいことなど何もなくとも、ニコニコしていれば、不思議に心も陽気になってきますし、眉間にシワを寄せて、不機嫌そうな顔をしていると、いつの間にか不機嫌になってきてしまいます。
これを「フェイシャル・フィードバック効果」といいます。
私たちの脳みそは、自分がしている表情からのフィードバックを受けて、「笑顔なんだから、楽しいはずだ」と思い込みます。
そして、ドーパミンなどの快楽物質を分泌しはじめるのです。
私たちの脳みそは、表情にだまされてくれるのですね。
「面倒くさいなあ」と思って、そういう顔をしていたら、どうなるでしょうか。
私たちの脳みそは、面倒くさいという気持ちを引き出す乳酸などの物質を身体に分泌しはじめてしまいます。
だから、余計に身体も疲れるのです。
したがって、面倒くさい仕事に取り組むときには、もうこれ以上ないというくらいの満面の笑みを浮かべるのが正解です。
イリノイ大学のマヤ・タミールは、面白くもなんともないときに、1分間、笑顔を作らせるという実験をしたことがあります。
両頬に力を入れてもらって、口角が上がるような顔(つまり笑顔)をとってもらうと、なぜかポジティブな気持ちが生まれたのですね。
また、タミールは、両眉に力を込めて、しかめっ面を作らせると、怒りっぽくなってしまうことも突き止めています。
フェイシャル・フィードバック効果は、まことに強力な作用をもたらすと言えるでしょう。
まずは自分の脳みそをだましてしまうためにも、とびっきりの笑顔を作ってください。
「イヤだ、イヤだ」と思っても、どうせ逃げられないのですから、楽しくやったほうがいいに決まっています。
そのためには、まず笑顔を作ることが大切なのです。
『トム・ソーヤーの冒険』には、「ごきげんなペンキ塗り」という話があります。
ポリーおばさんに罰として塀のペンキ塗りを命じられたトム・ソーヤですが、鼻歌交じりに楽しそうにペンキ塗りをしていると、友達たちが代わりにやらせてくれとお願いしてきて、トム・ソーヤはそれを押しつけることができた、というお話です。
どうせイヤなことをするのなら、せめて楽しそうにやりましょう。
そのほうが自分も楽しめますし、ほかの人も手伝ってくれるかもしれませんよ。
『おもしろいほどやる気になる本』 内藤誼人 明日香出版社 
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同書には「できるだけ幸せな声を出す」ということも書いてありました。


『私たちの感情は、自分のしている表情に影響を受けますが、同じことは、声にも言えるのです。


怒りっぽい声を出していると、やっぱりだんだん心もムカムカしてきますし、できるだけ優しい声を出そうとしていると、優しい気分になってくるのです。


オランダにあるアムステルダム大学のスカイラー・ホークは、幸せなときの声、悲しいときの声、怒っているときの声、不機嫌なときの声を出してもらう、という実験をしたことがあるのですが、それぞれの声によって、表情も変わることを明らかにしています。


怒りの声を出そうとすると、自然に表情も険しくなり、幸せな声を出そうとすると、柔らかな表情になることが多かったのです。


声と表情はどうも連動しているようなのです。


ということはつまり、優しい声、幸せな声を出すように心がければ、それによって幸せな表情になり、幸せな表情を作っていれば、フェイシャル・フィードバック効果で、幸せな気分になるはずです。


面倒くさいことをしなければならないときには、


「ああ、自分はなんて幸せなんだろう」


「ああ、私は仕事があって、お金までもらえて幸せだ」


そんなことをわざと口にするのがいいかもしれませんね。


ウソでもいいので、そういうことを口に出していると、本当に幸せな気分が生まれてくるでしょうから。』




「楽しいから笑うのではない、笑うから楽しいのだ」


という、アメリカの哲学者・心理学者のウイリアム・ジェームズの有名な言葉がある。



人間には伝染しやすいものが三つあると、小林正観さんはいう。


一つは、あくび。


一つは、不機嫌。


一つは、笑い。



詩人のゲーテは、「人の最大の罪は不機嫌」と言った。


不機嫌な人のまわりからは人は去っていく。


不機嫌がうつるからだ。



不機嫌な人は、不機嫌そうな声で話し、不機嫌そうな顔をしている。



「フェイシャル・フィードバック効果」を利用し、


面倒なことを始めるときも、そうでないときも…


とびっきりの笑顔で、楽しそうな声で話す人でありたい。

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