2021年1月14日木曜日

NO451 「ゆっくり いそげ」

ゆっくり、いそげ。
ラテン語で、「festina lente(フェスティナ・レンテ)」。
朝起きて、寝坊に気付く。
あ、予定に間に合わない。
あわてて準備して飛び出すが、駅前までの道すがら打ち合わせに必須の資料を忘れたことに気付き、泣く泣く来た道を戻る…。
…フェスティナ・レンテ。
「急がばまわれ」と言ってもいい。
目的地への到達を急ぐのであればあるほど、むしろ目の前のこと、足元のことを一つ一つ丁寧に進めた方がいい。
もしくは一つ一つ丁寧に進めていけば、存外早く目的地に到達できるものだ。
『結論はまた来週』という、ノンフィクションライター高橋秀美さんの書くコラムを読んだときのことだ。
そのなかに「勇気を持って、ゆっくり行こう」という見出しのものがあった。
2008年の北京オリンピック、競泳100メートル平泳ぎで金メダルを獲得した北島康介選手にまつわる話だ。
“私は平井伯昌コーチの言葉に胸を打たれたのである。
彼は決勝直前に北島に対してこうアドバイスしたという。
「勇気を持って、ゆっくり行け」
スピードを競うレースにもかかわらず、彼は「ゆっくり行け」と指示した。
テレビ朝日によると、北島は100mの準決勝で前半50mを19ストローク(かき)で泳いでいたらしい。
しかしこれだと後半に手足がバテて失速する。
そこで平井コーチは200mを泳ぐ時のようにストローク数を減らして「全身を使ってゆっくり泳ぐ」戦略を立てて決勝に臨んだ。
そして実際にゆっくり行ったら世界一速く着いたということなのである。”
こういうことはしばしば起こる。
例えば、お店の評判や認知度を上げたいと思うとき。
一つの方法は広告宣伝費を大量に使うことだが実はそれよりも、お店を訪ねてくださるお一人お一人に丁寧に向き合うことを積み重ねていった方が、長い目で見たら近道ということは大いにある。
かと言って、のんびりやっていればいいということでもない。
一つ一つ、一かき一かきには全力を尽くす。
自分はこの「ゆっくり、いそげ(フェスティナ・レンテ)こそ、これからの経済や社会を考えるときの基本指針になるのではないかと思っている。
クルミドコーヒー店主、影山知明(ともあき)氏の心に響く言葉より…


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