今日のお題
イスラエルのヘブライ大学で言語学を教えている、イタリア系ユダヤ人のSさんは、20ヵ国語を操る天才。
歴史や宗教にも造詣が深く、何を聞いても何でも知っているという感じで、「本物の博士というのは、こういう人を指すんだろうなあ」と思わせる人です。
ですが、Sさんの少年時代は、恵まれたものではありませんでした。
彼は幼い頃に両親を失っていて、その後、養父母のもとで少年時代を送るのですが、それはとても過酷なものだったと聞きます。
彼が自由にできる財産は一銭たりともなく、不条理な扱いを耐え忍んで、生きていかなければならなかったそうです。
過酷な 少年時代を送ってきたにもかかわらず、性格をゆがめられることなく、前向きさや負けない心を保ち続け、結果として、学問の世界で成功することができました。
近くに誰も味方がいないなか、たった一人で逆境を人のせいにしない強い意志を保ち続けることができたのか?
彼に尋ねてみたことがありました。
Sさんは、学校での彼の成績が抜群だったために、それに嫉妬した養父母の実子から、ある事件の濡れ衣を着せられてしまったということがありました。
その結果、彼は、風紀も良くなく、あまり教育熱心でない学校に転校させられてしまいます。
Sさんが学校を後にするとき、彼の才能を認めていた一人の教師が、こ んなことを言ったそうです。
「これから君は、いい教師に恵まれる可能性は少ないだろう。一人で悩みを抱えながら過ごすことになるかもしれない。しかし、誰にも教えてもらうことができなくても、世界には多くの本がある。これからは本が、君の先生だよ。どの科目を学ぶのかも、どの先生に教えてもらうのかも、君の自由だ」
それを聞いて、Sさんは胸が熱くなったそうです。
誰も味方がいないのであれば、まず本を味方にして、自分に力をつけていこう。
そう思ったそうです。
恵まれた環境がないなら、自分で環境を作らなければならない。
そのために本から学べることを学びきろうと、彼は図書館に通い詰めました。
本から得た哲学を芯として自分の人格を作り上げ、本の中の登場人物を友として、これらを糧にしながら、彼は必死で、前向きに生きるコツをつかんできたのでしょう。
苦しい時代だったでしょうが、そうした習慣を身につけられたことは、彼にとって、素晴らしい財産になったのではないかと思います。
「自分の味方はすぐ近くにはいないかもしれないけれど、本の中には絶対にいる」
こう考えると、前向きにいろいろなことに挑戦していけると思うのです。
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所長視点
人は逆境に遭ったとき、必ず「真実」に出会っているそうです
しかし逆境で出会った「真実」に対する捉え方は、二つの生き方となります。
一つは、逆境があったがゆえに真実に出会うことができた。と受け止める人
もう一つは、真実を通じて、自分が置かれている逆境から逃れようとする人
それは、イエス様が十字架の絶頂で、すべての人を赦す真の愛の実践を目の当たりにして、左の強盗は「その愛で私も救え」といい、右の強盗は「あなたと出会えて感謝します」といった姿と重なります。
その差は「自分の責任で自分の人生を生きているか」でしょうか…
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