2021年2月20日土曜日

「父は私たち子供がチョコレートを選ぶ際絶対に取替えを許さなかった。『お前はいま、掴んだじゃないか。文句を言うなら自分の手に言え』」(向田邦子「無名仮名人名簿」より)

人生は選択の連続だ。
右に行くのか左に行くのか、白をとるのか黒をとるのか、どんな物事も決定はつきつめると最後は二者択一。
そして、どんなに大枚をはたいて、貴重なアドバイスを受けたとしても、最後に決定するのは自分。
だから、文句を言うなら自分の手に言うしかない。

大事なことは、うまくいかなかったときの人としての態度だ。
人やまわりのせいにして、見苦しく、自分の責任を逃れるのか。
あるいは、そのくやしさをバネにして、歯を食いしばって、新たな挑戦をするのか。

「なにくそ負けてたまるか」という発憤(はっぷん)が、人をもう一段高いレベルに成長させる。
「文句があるなら自分の手に言え」という言葉を胸に刻みたい。

2021年2月17日水曜日

NO479 「ストレス」

ストレス学を創始したハンス・セリエは、「ストレスは、別のストレスを与えることによって転換される」という。
これは、精神的なストレスは肉体的なストレスで解消されるということに通じ、私たちの日常に当てはめれば、「仕事で頭ばかり使ったあとは、体を動かすのがよい」ということになる。

私の日常は、図らずもこれを実践しているかのように思う。
あるときは診察をする、あるときは原稿を書く、そしてまたあるときは旅行に出かけ、書類を整理し…と、時間に追われる毎日だが、こんな生活が健康維持に役だっているのだろう。
私は、ひとつのことに長時間集中しないように心がけている。
二時間ひとつのことをやったら、次は二時間、別の仕事をする。
このほうが能率がいい。

再びハンス・セリエの学説。
「ふたつの違うストレスを間を置かずに与えた場合、その動物の抵抗力は高まる。が、同じストレスを一定の期間を置いて与えられると、二度目のストレスに対して高度に敏感になり、病気になりやすい」
つまり、頭脳にストレスを与えた後は、肉体にストレスを与える。
こうしていると抵抗力が高まり、健康になる。
しかし、同じような精神的ダメージだけが続くと、人間は抵抗力を失うのである。

たて続けに大切な人を失ったとき、人はなかなか立ち直れない。
立ち直ろう、という気力を失ってしまうのである。
アメリカの産業精神衛生部会は、「肉親の死などを体験した社員には、半年以内に配置転換や転職を勧めるのはやめたほうがよい」という報告をしている。
あいつぐ精神的なストレスがひきがねになって、うつ病やノイローゼが発症しやすいからだ。

必死に体を動かしていると、無心になってくる。
それが精神的なストレスを和らげてくれる。
私は、母の輝子についていろいろ書いているが、苦しいとき、悲しいとき、たいへんなときこそ母が行動的であったのは、この学説にも当てはまっている。
不幸をはね返すには、あえて行動的になるのが一番なのかもしれない。

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2021年2月15日月曜日

 【自分の頭で考える】4527


《自分の頭で考えるのは勇気のいること》(ココ・シャネル)

映画「いまを生きる」のなかに、ロビン・ウィリアムズが演じる全寮制学院の新任英語教師キーティングが、教科書のページを破り捨てるように学生たちに言い放つシーンがあります。
それは、ある詩について、有名な博士が評論をしているページ。
キーティングはそのページを破り捨てるように生徒たちに指示しながらこう言うのです。

「こんなものクソくらえだ。みんな、自分の力で考えるんだ。自分で詩を味わうんだ!」

キーティング先生は、他のシーンではこんなことも言っています。
「本を読むときは、作者の意図よりも、自分の考えを大切にするんだ」
彼は、学生たちに、生きていく上で、「自分で考えること」の大切さを訴え続けるのですね。

話はガラリと変わって、吉田茂首相の懐刀として日本の戦後処理にあたり、GHQから「従順ならざる唯一の日本人」と呼ばれた白洲次郎のエピソードです。
そんな白洲次郎がケンブリッジ大学で学んでいた頃の話。
あるときのこと。
次郎は物理学のテストで非常に低い点を取りました。
回答内容は悪くないはずなのに、なぜか低い点。
首をひねりながら答案用紙をよく見ると、そこにはテストの採点をした教授からの次のようなメッセージが書かれていたのです。

「君の答案には、君自身の考えが1つも書かれていない」

さすがケンブリッジ大学。
教科書を丸暗記すれば書けるような解答は評価されなかったのです。
これを読んで「なるほど」と納得した次郎。
次のテストでは、自分の意見を書いて、高い点をもらったといいます。

さて、ココ・シャネルの名言です。
彼女の言うとおり、「自分で考えること」には勇気が要ります。
そして、その意見を堂々と主張することには、さらに勇気が必要。
「検索」という行為によって、どんな疑問に対しても、すぐに「答えのようなもん(決して「答え」ではありません」を見つけられてしまう現代だからこそ、余計に、「自分で考えること」「自分で答えを見つけること」の価値は高まっています。
答えのない問題だらけの現実世界では、自分で考えなければ前に進めません。

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2021年2月14日日曜日

NO475

この星は、思ったことがかなう星ではありません。
思ったことが正しいかどうか、それを行動に移してみて、うまくいったらそれは正しい、うまくいかなかったらそれは間違いである、ということがわかる星なんです。
そのためには、まず人に聞くのもいいし、勉強するのもいい。
けれど、いずれにしても行動ありきなんです。
行動しながら自分にとっての正しい道を選ぶの。
成功とか、楽しさとか、しあわせとか、そういうのを探す星なんだよね。
それで、さらに言えば、最初からうまくいかない星なの。
そんなことは当たり前なんです。
だから「行動したけどうまくいきませんでした」って、当たり前のことにいちいち落ち込んでいたらダメだよ。
とにかく成功するまでやる。
それがおもしろさなの。
成功がおもしろいんじゃないです。
成功するまで改良する。
その成長している自分が魅力的で、おもしろいの。
成功、成功っていうけど、成功っていうゴールより、そこに向かっていく旅路の途中がおもしろいんだよ。
旅行でも目的地に向かっているときがいちばん楽しいんです。
着いたら、あとは帰るだけなんだよね。
行動してもうまくいかなければ、それを改良・改善すればいいんです。
特に大切なのは、自分を改良することです。
そうすると魂的にも成長します。
それと「改良グセ」を身につければ、仕事でもなんでもうまくいくようになるからね。
この世のシステムはすべてそうだけど、改良しないといけないようになっているんです。

地球は「行動の星」だから、動かないと何も始まらないんだよ。斎藤一人 サンマーク出版


行動できない人は、失敗を恐れている。
失敗しないようにと、あらゆるリスクをゼロにしようとする。
すると、行動するところまで到達しない。
結局、頭の中で考えているだけ、ということになってしまう。

頭の中でだけで考えている人、つまり理論や理屈が先行している人は、行動が鈍(にぶ)い。
口先だけで、何も行動しない。
つまり、「行動力の伴わない精神論は害である」ということ。

「地球は行動の星」
だからこそ…
「ぐちゃぐちゃ言うな。やれば、わかる。」という言葉を胸に刻みたい。
斎藤一人さんの『地球は「行動の星」だから』という話がある。

2021年2月10日水曜日

人材を人財として育てる方法として『新入社員に施した五つの「クセづけ」』というものがある。

1. 約束を守る
2. 自主的にやる
3. 逃げない
4. 自慢しない
5. 人の足を引っ張らない

そのために大事なことは、「自分に起きることは、よいことも悪いこともすべて必然、必要である」と考えて他人に責任転嫁せず、事態を受け入れて、自己責任のもとで行う、ということ。
これこそが、人づくりの原点だという。
そして、これらを身につけることを「躾」と呼んでいる。

また、「与え好きな人」とは、利己ではなく利他の人。
これは「お金や贈り物を与えること」とすぐに思ってしまうが、「自分の知っていることを惜しみなく教える」とか、「明るい笑顔」「気持ちのよい挨拶をする」「席をゆずる」等々の行為もある。
要するに、ケチくさい人間は嫌われるということ。
自分のことばかり考えている人間は、「人間性が低い」。

人材は人間性を育てることで人財になります。